開催期間2015年3月28日(土) から 2015年5月7日(木)
概要 1933年に帰国した藤田は、東京にアトリエを構え、本格的な制作活動を展開します。画業のかたわら、日本各地を旅し、また1934年には中国へ足を延ばしています。中国を訪れた藤田は、街を黄土色に塗り潰す黄塵に驚き、広漠とした光景が広がる明の十三陵や、万里の長城を訪れました。北京では市場の雑踏に分け入り、見世物角力に遭遇します。1930年代半ば、藤田のまなざしは、日本、中国などのアジアへと向けられていました。
アジアへの関心は、帰国前の中南米への旅で培われたものでした。1931年に藤田はパリを離れ、ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ペルー、キューバ、メキシコなどを巡遊します。ブラジルでカーニバルを見物し、ボリビアではインカ民族の血を引く人々に出会うなど、それぞれの国の固有の文化に触れ、感興を覚えています。 このたびの展覧会では、平野政吉コレクションの中から、中国や中南米に取材した作品、旅行中に収集した品々や現地で入手した宗教画を展観します。加えて、日本で描いた作品も展示します。藤田は日本滞在を、旅の途上、ひとときの逗留と考えていたらしいのです。さまざまな民族や文化に対する、藤田の真摯なまなざしを感じ取っていただければ幸いです。 |
学芸員によるギャラリートーク 日時:4月18日(土)14:00~ 当日のチケットをお持ちの方は自由にご参加いただけます。 |