開催期間2014年9月20日(土) から 2014年11月4日(火)
概要「サイン代わりに猫を描くことがある」という藤田嗣治。藤田作品の中の動物に着目しながら、その画業を辿ります。
藤田は1920年代のパリで、透明感溢れる裸婦像で画家としての地位を確立しました。パリで脚光を浴びた頃、藤田は猫を飼い始めたといいます。その愛猫が、裸婦像をはじめ、自画像などに登場するようになります。女性の肌の質感表現に意を注いだ藤田にとって、猫のしなやかな毛や柔らかな体の感触も、創作意欲を掻き立てるものだったと思われます。乳白色の下地と繊細な線描は、猫を描くことにも適していたのです。 1930年代に入ると、藤田の画風は変容し、リアルな表現が追求されます。裸婦像や自画像が、時に藤田の置かれた状況を暗示することもありました。そのような画面では、動物が特別な意味を持って登場します。藤田はまた、油彩、水彩、墨画などの技法を問わず、動物の命そのものを表現しようとした画家でもありました。猫、犬、馬など、さまざまな動物を主題に、その生命力と躍動感を描き出しています。 本展では、1919年の詩集の挿絵から1960年頃の聖書を主題とした版画まで、動物が登場する藤田作品を展観します。優れた観察力と描写力によって描かれた動物のしぐさや表情を楽しみながら、動物たちがささやく藤田の物語に心を傾けていただければ幸いです。 詳細はこちらです(平野政吉美術財団ホームページ) http://www.pic-hiranofound.jp/exhibition_next.html |